今回の記事では有効求人倍率について詳しくお伝えします。
なんとなく、求人倍率と聞くと人気のある職業なのかなぁと思ってしまいがちですが、この有効求人倍率とは人材を確保する難しさを表す数値です。
つまり有効求人倍率が高い職種は人気があるのではなく、人手が足りないのです!
なんとなくテレビや新聞で人手不足と言われる様になってしばらく経ちますが、求人について勉強するまでは、経営者の視点を意識していなかったので、人が足りないという実感も持てませんでした。
でも、確かに東京都内のコンビニなどでは日本人の店員さんの方が少ないくらい外国籍の店員さんが増えていますし、大きな建築現場では外国人の方が増えているようにあなたも感じたことがアリませんか?
ではどんな業界や職種で人手不足になっているのでしょうか。
有効求人倍率の低い建設業界の構造
何といっても真っ先に挙げられるのが建設業です。
建物の骨組みを作る型枠工、鳶工、鉄筋工などの有効求人倍率は9.62倍と超が付くほどの人手不足です。
ちなみに去年の2018年にはけんせう技術者の有効求人倍率が6.18倍~とありましたから年々問題が深刻化しているのは間違いないでしょう。
数字だけ見れば10人の求人をしても1人しか募集がない事になっています。
しかしながら、これだけの人手不足にも拘わらず建設業に携わる人の給料は上がりません。
基本的な問題として、建設業は利益率が低いとされています。
更に業界の構造として、元受け、孫請け、孫請けの下請け、という形で実際の労働者に給料が渡されるまでに何重にも中抜きがされてしまいます。
各段階で少しでも多く中抜きしようとするわけですから、安くなる事はあっても高くはならないのです。
だからと言って公共事業を街の土建屋や工務店が落札できるわけではないために、下請けせざるえない、こういったジレンマが解消されていません。
加えて外国人労働者の流入があります。
未だに世界の中には経済格差があるので、このギャップが無くなるまでは建設に携わる労働者の給料が上がる事はないでしょう。
給料が上がらない限り、日本の若者がこの業界に戻ってくることは考えずらい、、、
こうなってくると、外国人労働者を受け入れる事が出来るそれなりの会社しか生き残る事はできません。
国交省が設計労務単価を4回も引き上げているにも関わらず、未だ改善されていない労働者の賃金、業界が全体として体質を見直さない限り中小の建設業は潰れていくでしょう。
有効求人倍率の高さは医師、看護師業界にも!
医師や看護師などの医療系の業界も有効求人倍率が、6.73倍と高い水準にあります。
昔は医師と言えば花形の職業でしたが、必要な診療科に対しての医師の人数が足りていないという業界の事情により、雇われ医師はとても過酷な職場環境に置かれています。
小児科や産婦人科などは夜間診療が多い上に、偶発事故が起こりやすい、挙句診療報酬が安い。
人は医師にやたらと使命感などを求めますが、医師だって人間です。
当然お金になりそうな美容外科などに人材は流れていきます。
その結果、医師が集まらにために、公立病院が閉鎖に追い込まれる事態が起こっています。特に地方の公立病院では深刻な問題になっています。
有効求人倍率から見る共通する問題
人手不足に悩む業界に共通しているのは、「賃金の安さ」と「待遇の悪さ」の二つが特に大きな問題になっています。
さらに共通していることは、この問題は会社単位では解決できないという事です。
公共事業が入札形式なのは、昔も今もかわりがありませんが、20昔前くらいまでは談合という仕組みが機能していて、良くも悪くも各社が利益を持ち合っていました。
しかし最近では法令順守の機運の高まりと共にこの機能は失われています。
結果、安く公共事業を受け、手抜き工事をしていたという事態や、労働者にしわ寄せがいくといった事態を招いています。
日本では同業種、同賃金といった制度もないので、いかに労働者を安く使えるかが会社の使命になってしまっています。
しかも公共事業を発注している側に品質管理能力があるかは疑わしい所です。
最近でも免震構造や耐震構造の基準を満たしていない建物が話題になっていました。
建設業界にあるこういった問題は1社が賃金を上げたり待遇を改善したからといって解決できる問題ではありません。
医師の、地域や診療科にたいする偏在も病院単位で解決できる問題ではないと思われます。
こちらは建設業界よりも更に社会全体で解決していかなければならない問題です。
人数が先細りになる事が見えている小児科や産婦人科には、社会として何らかのインセンティブが無ければ医師は集まらないでしょう。
業界的にも一般事務などは有効求人倍率が0.3倍ととても低い水準にあります。
つまり全ての業界で人手不足なわけではないのです。
この労働者の偏在は、待遇を見直す事である程度は解決していくはずです。
ネオコンサバティブの人達が主張してきた「小さな政府」が作ってきた社会の歪は、こういった所にも現れてきているのかもしれません。
単純に需要と供給だけでは社会が回らない事が判ってきました。
そうであるなら、少しでも働き手の偏在を見直す事が今後の社会に求められている大事な要素なのかもしれませんね。
今回の記事も最後まで読んでくださってありがとうございました^^
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