誰にも縛られないような生き方としてパッと思いつくのが僕にとってはアーティストですが、実際に僕はアーティストのような表現力を持たないので、今回も小説家の友人に依頼して書いてもらった記事になります。
特に今回の記事では、究極の自営業とも思えるアーティストには繁忙期や閑散期があるのかについて相談してからこの記事を書いてもらっています。
世間の人が思っているよりも生々しい苦労や充実感のある職業の景色が見えると思います!
最後まで読んでいただけると嬉しいです。
では、下記から本文にはいります。
究極の自営業アーティストの思う繁忙期と閑散期
「仕事と私生活をちゃんと両立できたら、人生が楽しくなるんだろなぁ」
などとボヤいている大人は少なからずいるだろう。
分かっていながらどうしても仕事に引っ張られてしまうというのが世の哀しい現実である。
しかし自営業の人にはより良い両立をもたらす秘訣がある。
それは仕事の忙しい時期とヒマな時期・いわゆる繁忙期と閑散期の理解を深めることだ。
その分別がつけば繁忙期に仕事、閑散期に余暇を振り分けられ両立がうまくゆく。
しかし究極の自営業ともいえるアーティストはどうなのだろう。
そもそも繁忙期と閑散期のサイクルがあるのだろうか。
私は一度小説家デビューしたことがあり、ここでは小説家の視点でこの点を考えたい。
小説家にとって最も恐るべきことはデビュー後の閑散期である。
それを避けるための心構え、そして繰り返し繁忙期を呼び込むためのヒントも書いてみたい。
究極の自営業アーティスト以外の一般的な自営業の場合
コンビニや飲食店など普通の自営業の場合、繁忙期と閑散期のサイクルはつかみやすい。
最近はネット上でビジネス関係のフリーソフトやアプリがあるので売買データをこまめに入力すれば、その仕事の繁盛の仕方がはっきり分かるだろう。
3年もデータを取れば一日・一ヶ月・一年それぞれの単位で繁忙期と閑散期のサイクルが判明するはずだ。
また何らかの偶発事項・幸運やトラブルがあれば、データから除外することが望ましい。
最近は24時間営業のコンビニでさえ時短営業を実施している。
今後は自営業全般が繁忙・閑散サイクルを生かしより効率化されてゆくだろう。
究極の自営業アーティストと遠洋漁業の漁師
アーティストのような究極の自営業にも、もちろん繁忙期と閑散期自体はある。
ただし多くの場合それは両極端である。
つまり忙しいときはめちゃくちゃ忙しく、ヒマなときは死ぬほどヒマだということだ。
普通の自営業でこれに最も近いのは、例えば遠洋漁業に出る漁師だろう。
彼らの多くは一年の内の大体3~4ヶ月の間、遠く外国の外洋に出て漁をする。
そして地元の港に大漁をもたらしたら大体半年以上の休暇期間に入る。
アーティストと遠洋漁業の漁師に共通していえるのは、繁忙期は肉体的にきつく閑散期は精神的にきついということだろう。
小説家が売れると未だにホテルに缶詰にされて書かされるようなことは多々ある。
それはどこにも逃げ場のない外洋に出た漁師にも重なる。
しかしかなりきつい仕事なだけに、それを乗り越えたときに得られる達成感や満足感は他の職種よりも遥かに大きくなる。
多くの場合、それにはお金も伴うのでなお充実するだろう。
しかし小説家が売れなくなると地元に帰ってから時間がたった漁師と同じような立場になる。
自分の好きな仕事から離れると、やはり心にぽっかりと穴が開くのだ。
小説家の場合はその閑散期がなおきつい。
多くの漁師には次の繁忙期が決まっている。
遠洋漁業の猟期は一年の内に必ず一回は巡ってくるのだ。
しかし小説家にはそれが次にいつくるのか、そもそもそれがあるのかどうかさえも分からないのだ。
究極の自営業アーティストのはずがデビュー後さっそく閑散期にさらされる最近の作家事情
小説家のようなアーティストにとって繁忙期と閑散期のサイクルはほぼないと言ってもいいだろう。
その根本的な不安定さが、多くの人にアーティストの夢を諦めさせる最大の要因になっているのではないだろうか。
小説家にとってヒマになるという恐るべき事態は大体どのようにやってくるのだろう。
私もその1人だが、ほとんどの小説家は何らかの新人文学賞を経てデビューする。
大抵の人はデビューしてから大体3年くらいはどの新人作家も忙しいと思うものだろう。
しかし最近の出版事情はそれに反している。
ほとんどの出版社は新人賞を設けながらもデビューのインパクトだけで新人を売ろうとしている。
そのためデビュー後に出版社に見捨てられる新人は年々増えている。
最近は講談社が『講談社NOVEL DAYS』リデビュー小説賞という新人作家の再デビューを促すものまで作ったほどだ。
小説家の場合、デビュー直後から閑散期の危機が迫ってくるということだ。
究極の自営業アーティストの小説家がデビュー後の恐るべき閑散期を避けるには
デビュー後に仕事が入らなくなった小説家が復活する道はほぼない。
出版者に手当たり次第に原稿を持ち込んだり、ネット投稿や電子書籍に活路を見出す道もある。
だが、そういう手で復活した有名作家を私は1人も知らない。
なので特に小説家にとってはデビュー後の閑散期が最も恐るべき事態だといえる。
大手出版社や新人育成に力を入れる会社の賞を受賞すればそれは避けられる。
だがそういう賞は大抵、競争率が高い上に保守的な作家を選びがちだ。
小説家が最初の閑散期を避けるために最も大切なことは、やはり担当編集者と良い関係を築くことにあるだろう。
ビジネスライクな付き合いを超えて私的に交わることが望ましい。
原稿のやり取りやコミュニケーションはメールだけでは全然足りない。
メールでは何ヶ月も進まなかった話が電話を入れるだけですぐに通るなんてことはザラにある。
顔を出せばなお上手くゆく可能性は高まる。
なので地方の出身者でもデビュー後にはできるだけ多く東京に足を運んだ方がいい。
その旅費や宿泊費が賞金の最良の使い道だともいえる。
ダイレクトに編集者と交われば出版社の中でも顔が売れる。
そうすることで多少売り上げが伸びなくても多くの業界人が目をかけてくれるようになるだろう。
実際、私にはこれができなかったし、他の多くの埋没新人作家たちも同様なのではないか。
作家の多くはシャイなので、このハードルはかなり高いと言える。
特に今の出版社の多くは、どんなに才能があっても作家が積極的に働きかけなければ決して振り向いてはくれない。
小説家志望の人は何よりこのシビアな現実を知っておくべきだろう。
小説家やアーティストが繁忙期を繰り返し作るには
逆に小説家が繁忙期に入る・売れるようになるキッカケの代表例は、やはり映画化・ドラマ化されることだろう。
一発屋で終わった新人作家でも誰か有名な監督の目に止まり映画やドラマが作られれば一気に脚光を浴びるようになる。
そこで半永久的な閑散期が一気に繁忙期に変わるのだ。
ただしそのためには少なくとも3冊は出版しておかねばならないだろう。
一冊だけの作家の小説は、自然と敬遠され人の目には止まらないものだ。
そして繁忙期に入っても決しておごってはならない。
できるだけハードワークに協力し、編集者や出版社に誠意を見せるべきだろう。
そうすれば再び閑散期に入っても、人脈は残るのでいつか誰かがドアを叩いてくれるものだ。
小説家を始めアーティストは繁忙期と閑散期のサイクル自体がない不安定な職業だ。
しかし人と人とのダイレクトなつながりを大切にし、熱い思いを正しい人に伝え続ければ繁忙期はいつか必ず巡ってくる。
アーティストの将来性はただのカオスではない。
正しく進めばそこには長期的なレベルでの安定があるのだ。
ちょうど毎年同じ時期に繁忙期を迎える遠洋漁業の漁師のように。
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