こんにちは!
サポートライターのじんです。
今回は外注としてお世話になっている小説家の方に記事を執筆してもらいました。
普段のお客様目線に特化した記事の執筆を依頼した時の具体的な記事を紹介します。
「あんな店、もう二度と行きたくない」などと思ったことは、誰にでも一度や二度はあるだろう。そういう店は何かが極端に悪い分、誰もが避けることができるし遅かれ早かれつぶれるものだ。
問題なのはまぁまぁ悪い店である。
そういう店は、悪いことにあまり気づかれていない。
なので多くの人がそうと気づかずに常連になっていたりする。
悪い店に通い続けると知らず知らずのうちにストレスがたまるものだ。
そういう店はできるだけ避けるべきだし、
社会のためにも繁盛させない方がいい。
ここではそのために悪い店に共通する本質を考えてみたい。
私は2019年の瀬戸内芸術祭で夏の直島を訪れたことがあり、そのときの体験をベースにしたい。
観光地の飲食店ほどなぜ接客が悪くなるのか
悪い店の第一の特徴はやはり接客が悪いところだ。
そういう店は皮肉にも人気の観光地に多く見られるものだ。
香川県沖の瀬戸内海にある直島は、
今や世界中のツーリストが訪れるアートの島になっている。
そういう人気観光スポットになると、特に飲食店の質が悪くなってゆくものだ。
人を大勢引き寄せる場所が近くにあるので、
店は何もしなくてもお客さんが詰めかけてくれる。
また客層の大半がツーリストでも儲かるので、リピーターや常連客を作る努力をしなくてもよい。
となると店の従業員は自然と横着になり横柄にもなる。
おまけに観光地という付加価値によって幾らでもメニューの値段を釣り上げられる。
人気の観光地では基本的に外食しない方がいい。
料理が美味しくても店員が無愛想で値段が暴利ならすべて台無しになる。
いい店の一番のポイントは、
いい店員によっていい空気が作れている所にある。
観光地だからこそコンビニ弁当で済ませてもいいのだ。
地元料理がどうしても欲しいなら、
お金をかけて高級店に行くしかないだろう。
直島でいえば、ベネッセハウス内にあるレストランである。
一方、直島で私はこじんまりとした庶民的な飲食店に入った。
そして、それこそが観光地における最悪の選択の1つなのである。
悪いお店は、お客に決して寄り添わない
私は直島で『ハロー(仮名)』という店に入った。
大のカレー好きなので、直島のシーフードが入った直島カレーが食べられるその店をランチ先に選んだのだ。
が、それが悪夢の始まりだった。
接客係の20代ほどの若い女性店員は店内に入るなり私にこう言った。
「日本語が話せますか?」
これには驚いた。
その前に私は彼女から話しかけられたがイヤホンをしていたのでよく聞き取れなかったのだ。
しかしそれはたった1回のことだった。
確かに直島には中国人や韓国人の観光客も数多くいる。
しかしそれは日本人に言えば相当に失礼な言葉である。
たぶん、その女性店員はそれを考えたことさえないだろう。
悪い店の店員とは、まずこのように客の側に寄り添った対応をしない。
自分本位で頭にある言葉をそのまま出してしまうのだ。
また直島カレーは単品注文ができず、小さなサラダとドリンクつきで1,350円のセット注文だった。
シーフードなどの具も少なく、明らかに暴利だった。
さらに同じ女性店員が対応したお会計のときだ。
私はまちがえて少ない額を出してしまった――そこには暴利へのささやかな抵抗心理があったのかもしれないが。
すると店員は明らかに不機嫌な顔になった。
私が正しい額を出すと「ありがとうございます」と小さく言った。だがここで話は終わらない。
お会計が終わるなり、その店員は店頭に現れた知り合いとペチャクチャしゃべりだしたのだ。
会計のときとは、まちがいなく店員が客に最大の敬意を示さねばならないときだ。
本当にいい店であれば、お客がお金やカードを出すまで店員は少し頭を下げてじっと待っている。
客が支払い額を間違えても敬意を失うこともない。
もちろん観光地の飲食店のすべてがこうというワケではない。
直島の飲食店にもきっといい店員が働いている店もあるだろう。
しかし人気の観光地で庶民派の店に入ると、大抵は私のような目にあうのではないだろうか。
初めて来店した客への敬意
直島ではもう2つ悪い接客にあった。
フェリーで島に着いた後、私は町営バスに乗った。
時間ギリギリだったので私は車掌のすぐそばに立つことになった。
そしてバスが発車するなり車掌は知り合いに話し出した。
30代くらいの若い男だったのだが、大きな声で友達同士の会話を始めたのだ。
私がイヤホンをしていたので聞こえないと思ったのだろうか。
しかし島について無知な私は車内アナウンスを聞く必要があったので音楽は止めていた。
なのでずっと彼らの会話を聞くことになった。
今日の直島の観光客はどれくらいだとか島に住むように勧められているだとか、そういうような話だった。
これはどの店にも通じる悪い接客の1パターンである。
店員は知らないお客さんがいる時に知り合い同士で内輪話をすべきではない。
居合わせた客は自分とは無関係の話を無理やり聞かされることになる。
大きくはないが、やはりそれは不快なことである。
いい店の店員とは初対面の客に対しても敬意を持っている。
そのため内輪話は聞こえないように隠れてするものである。
また私が直島銭湯に行ったときのことだ。
おそらく直島に訪れた人なら誰もがいくアートも兼ねたすばらしく美しい銭湯である。
私は入浴をせずお土産用のタオルだけ買って帰ることにした。
銭湯のおじさんにタオルのお金を渡すと、彼は「チケットを買って」という。
そこで私は入浴チケットを買わねばタオルが買えないのかと瞬時に判断した。
それを口にすると銭湯おじさんは、ぶぜんと販売機を指差した。
そこには何とタオル購入用のボタンがあった。
つまり、この銭湯ではお土産のタオル1つ買うのにもチケットが必要なのである。
だが、おじさんの態度はお前はそんなことも分からないのかというものだった。
これもまた悪い接客の1パターンである。
特に長く店をやっているとその店の特殊なことでも当たり前に思いがちだ。
そのため初めての客がそれに戸惑うことに寄り添えないのである。
いい店のいい店員とは、長年続けている店のシステムを初めてのお客さんにも分かりやすく親切に説明できるものである。
観光地の店舗はなぜ接客が悪いの?実例と改善の3つのポイントを考察まとめ
接客に絞った直島旅行限定の少ない事例になったが、おそらくこれだけでも色んな店の根本的な良し悪しを判断するいいヒントになるのではと思う。
そういえば直島カレーの店では仕入れ業者も無愛想だった。
大勢のお客さんが並んで待っているのに、業者の数人は淡々と食材を店内に運び入れるだけだった。
ひと言くらい「いらっしゃいませ」と言って頭を下げてもいいだろう。
いい飲食店では、仕入れ業者にも接客マナーがあるものだ。
最初のあいさつの気持ちよさ。
初めての客への敬意ある接し方。
そしてお会計の際の礼儀よさ。
この3点でその店の良さが大体計れるだろう。
いい店とはやはりいい人が作っている。
コンビニでも飲食店でもドラッグストアでも、特に常連になるのであれば人のいい店を選ぶべきだ。
これを心がけるだけで、きっとあなたの人生は明日から少しだけハッピーなものになるだろう。
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