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2019年香港デモの流れを分かりやすく!中国とアメリカの反応は?

2019年香港デモの流れを分かりやすく!中国とアメリカの反応は?
今年の6月16日香港で200万人の歴史的なデモが起こってからもうじき半年がたとうとしている。

しかし香港デモは鎮静化するどころか、ますます激化しているのが実情だ。

私はここで2回に渡ってこのニュースについて書いてきた。

が、その出口についてはほぼ全く考えていなかった。

なので今回はその最悪のシナリオと理想のゴールについて掘り下げてみたい。

香港デモ・半年の足取り

2019年の今年・香港デモは最も大きな世界的関心を集めたニュースであることに間違いない。

後1ヶ月残っているが、これを超えるものは出てこないだろう。

香港デモは200万人デモから半年の間、定期的に大きな騒動を起こしている。

アメリカのNBAチームの幹部がデモの支持を発表してNBAファンの多い中国が猛反発。

香港の警察官がデモの参加者を銃殺するなど日増しに激化。

香港の区議会選挙でデモを支持する民主派が8割もの議席を得て圧勝

トランプ大統領が米議会の圧力を受け「香港人権法案」にサインし、中国への圧力を強化。

 

最近ではバットマンの新刊コミックの中にある火炎瓶を投げるバットマンに対し、中国人の多くが香港デモへの賛同だとして非難を浴びせることもあった。

このように香港デモは日々大きく動いていて、さらにそれが世界全体にも波及しているのである。

人権かマネーか:アメリカと中国の二者択一

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NBAバットマンのニュースには実は大切なテーマが潜んでいる。

NBAとバットマンは共にすぐに中国に譲歩した。

NBAコミッショナーは中国に謝罪しバットマンの版元DCコミックも関連画像をネット上から速やかに削除した。

理由は中国マネーを失うことへの恐れからだ。

中国は今世界のグローバリゼーションの真ん中に立っている。

なので多くの国が香港デモを弾圧する中国を批判したいが、表立ってそれをできないでいる。

要するに中国がアメリカに並ぶ経済大国になったことで、世界各国の倫理レベルが試されているのである。

 

アメリカは香港人権法案を可決したことで人権大国のプライドを示したといえる。

日本やその他の主要国はどちらにつくのか、今後その倫理が問われてゆくだろう。

5大要求の第一歩に過ぎない民主派デモ

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香港デモに終わりはあるのだろうか。

多くの人はそんな素朴な疑問を持っているだろう。

香港のトップ・林鄭月娥(英名:キャリー・ラム)行政長官は、デモ隊の5大要求の第一項・逃亡犯条例改正案の完全撤回を果たした。

残る4つ、

1普通選挙の実現

2独立調査委員会の設置

3逮捕されたデモ参加者の逮捕取り下げ

4民主化デモを暴動とした認定の取り消し

 

先の区議会選挙での大敗後にも行政長官はこれらにノーを突きつけた。

選挙結果に民意が反映されていると認めながらも、中国に従う道を選んだのだ。

民主派デモの女神と呼ばれる周庭(英名:アグネス・チョウ)は、日本の「NEWS23」のインタビューで「選挙での圧勝はまだ始まりに過ぎない」と語った。

長い歴史の正念場に立った香港市民

最悪のシナリオは天安門事件の末路・中国共産党の大々的な軍事介入による沈静化だ。

もちろん中国はそれを安々とはできない。

グローバリゼーションの贅沢を知った中国は多数の犠牲者を伴う強引な制圧によって世界と商取引できなくなることを何よりも恐れているのだ。

 

しかし香港デモが今後ますますエスカレートしてゆけば、中国の軍事介入に大義名分を与えてしまう。

香港がデモ隊と警察で血みどろの内戦状態になれば、世界も中国による沈静化を望むようになるだろう。

日本は1960年の安保闘争デモに敗れて以来ずっとアメリカから主権を回復できないでいる。

60年代後半には全共闘デモに破れ、以来ずっと教育が政府に管理されるようになった。

 

香港デモが敗れればそれと同じように極めて長い冬の時代を迎えることになるだろう。

しかもその主人は中国である。

香港はまさに今歴史の正念場に立っているのである。

第4のデモ形態:不買運動が導く理想のゴール

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香港には民主化という理想のゴールにたどりつくことはできないのだろうか。

今のように暴徒化するだけでは先の最悪のシナリオに近づくだけだ。

ジョン・レノンは有名な反戦イベント「ベッド・イン」の中でベトナム戦争反対デモの参加者に対し、絶対に暴力だけは使うなと言った。

そうすれば体制側が好き勝手にデモを押さえ込めるからだ。

 

近代以降、目に見える力というものは、いつも時の権力・政治がそのほとんどを握っている。

なので市民革命など起こしてもムダだ。

チェ・ゲバラの哀れな最期がそれを何よりも物語っている。

 

哲学者・柄谷行人はある著書の中で、一般庶民が政治家や富裕層よりも強い立場に立てるときがあると書いている。

それは労働者という立場でもなければデモの参加者という立場でもない。

それは消費者という立場である。

庶民が消費者になったとき政治家も富裕層も立場が下になる。

なぜなら庶民が物を買わなければ、彼らの贅沢が終わるからだ。

権力者は消費者を何よりも恐れているのだ。

 

消費者が取るデモ行為とは「不買運動」である。

暴力的なデモ・平和的なデモ・ゼネスト。

これらに続く第4のデモ形態といえる。

 

香港デモには観光客を来させないようにして政府の観光収入を減らそうとする側面もある。

中国にとってもそれは一番に大きな悩みだろう。

ただそれは直接的な妨害行為なので当局にいずれ制圧される。

それよりも香港市民が消費者として不買運動を起こせば事態は劇的に変わる可能性がでてくる。

不買運動とは買わないのではなく消費を最小限に抑えることだ。

多くの市民がそうすれば政府の税収は一気にダウン。

香港マネーに頼る中国経済も一気に悪化するだろう。

 

そのうち香港市民はマネーと政府に依存しないコミュニティを草の根レベルで広げてゆけばいい。

それが成功すればいずれ民主化という理想のゴールにたどりつけるだろう。

保守とリベラルの亀裂が永遠に埋まらない世界の歯車

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もちろんこれは実現性に乏しいものでもある。

グローバリゼーションの甘い密を吸った中国同様、香港市民にしても今までの生活水準を落としたくないはずだ。

不買運動・最低限の消費活動は相当の思い入れがなければできないことなのだ。

現実的にはギリギリの線で今後も香港民主派と中国は延々と争い続けるだろう。

 

そのうちその対立自体が溝が埋まらないまま風化するのではないか。

アメリカや日本でも保守とリベラルの対立はそのように落ち着いている。

そして、その何も決着しない状況は環境破壊や格差拡大を広げる温床になっている。

悲観的に見れば香港デモもまたその今の大きな世界の歯車の中に取り込まれるのかもしれない。